バフ研磨
バフ研磨
バフ研磨とは「バフ(Buff)」と呼ばれる綿やウールなどで作られたホイール状の研磨道具を使い、金属の表面を研磨する加工のことです。
研磨材を塗布したバフを高速回転させ、それを金属表面に押し当てることで研磨を行います。
金属の表面の凹凸やキズ、汚れなどをなくして綺麗にすることができます。
見た目はもちろん、加工精度も上がるので、製品としてワンランク上がる仕上がりになります。
特に食品機器には食品衛生の観点からバフ研磨仕上げは必須であり、またリフレクターのような集光装置にもバフ研磨が施工されています。
他にも自動車、航空宇宙、建築、家電製品、装飾品、医療機器など様々な工業部品にも使用されており、自動車の金属部品やステンレス製のキッチン用品など日常的に見るものにまで使用されています。
バフのメリット
- 表面を鏡面に仕上げることが出来る。
- 滑らかにキズを除去することが出来る。
- 製品の表面を均一に磨けることにより、摩擦や接触による劣化が少なくなり、耐久性が増す。
- 表面が滑らかになる事で塗装などによるザラ付きも滑らかに仕上げることが出来る。
バフの種類
ウールバフ
きめ細かく適度に厚みがあり、表面を傷めず磨くことが出来ます。 均一に製品を磨くことができ、ソフトに仕上がるためツヤ出しに適したバフです。
布バフ
綿や不織布などで作られた柔らかいバフです。 金属製品のサビ取り、メッキ前の下処理など、材料に合わせて粗研磨から鏡面仕上げまで幅広く使われます。
麻バフ
主にサイザル麻が使われ、粗研磨に使われることが多いです。また、メッキ前の中研磨に最適です。
スポンジバフ
表面が柔らかく、仕上げ用に使用されます。
バフの番手
バフの番手とは、バフの目の荒さを表す数字のことです。
数字が小さいほど目は荒くなり、数字が大きいほど目は細かくなります。
目が細かいほど、綺麗な仕上がりになります。
番手は「#○○」「○○番」などで表記されます。
一般的にバフ研磨は400番以上に相当します。
ナガセでは、番手は600番まで、サテン仕上げ、ヘアライン仕上げなど
多様な仕上げ方が可能です。

バフ研磨加工例

(材質:ステンレスヘラ絞り加工品)




(焼け取りとバフ研磨をする事で表面の溶接跡を除去し、表面を整える事が出来る)
研磨材の種類
バフ研磨では、研磨材をバフに直接塗布して使用します。 固形研磨材と液体研磨材の二種類が使われますが、主に使用されるのは固形研磨材です。
固形研磨材
油脂材料を使用し、砥粒が練り込まれた粘土のようなスティック状の固形の研磨材です。
固形研磨材の中でも、青棒、赤棒、白棒と種類があり、求める仕上がりによって使い分けます。
摩擦熱による表面の焼けを防ぐことも出来ます。
青棒 | 酸化クロムを主成分としています。 研磨力は三種類の中で最も低いですが、仕上げに適しており、鏡面仕上げにも使用されています。 |
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赤棒 | シリカが研磨剤の主成分のものが一般的で、酸化ケイ素を主成分にする「トリポリ」と呼ばれています。 砥粒が粗い研磨剤で、粗研磨に使われます。 |
白棒 | アルミナ(酸化アルミニウム)を主成分とします。 研磨力は青棒よりも強く、番手もメーカーによって豊富なものが用意されています。 主に中研磨から仕上げ研磨に使われます。 |
液体研磨材
液体研磨材は粘度の高いペースト状の液体です。
研磨力が弱いため、ツヤ出しや汚れ落としに向いています。
番手でいえば1万~10万ほどまであります。
ナガセのバフ研磨
さまざまな素材のバフ研磨が可能
ステンレス、銅、アルミ、チタン、ニッケル合金(インコネル・ハステロイ)、真鍮に対応しております。 その他金属、非鉄金属に関してはお問い合わせください。


液体研磨材
ナガセでは、組み上げてしまうとツールが入らず研磨が出来なくなる、といった事がないように、あらかじめ部品単体でバフ研磨をしておき、製品としてアッセンブリー溶接した後にも最終的に仕上げのバフ研磨をしております。
製品として部位ごとに外観にバラつきが出ないように、部品でのバフ研磨から、完成品としての外観まで一貫した管理体制を敷いております。

対応が素早い
ナガセはヘラ絞りから製品の仕上げまでの一貫生産体制をとっています。
そのため、バフ作業者はヘラ絞りや溶接された加工品の特徴をよく理解し、その性質を理解した上でのバフ研磨が求められます。
一貫生産体制の特徴を理解した上で行うナガセのバフ研磨では、現場との細かいすり合わせが素早く行えるほか、小さなキズ取りのために外注に出す必要が無いなど、短納期にも適した対応が可能です。
また、数値では管理できないバフ研磨の外観や仕上がり具合についてもお気軽にお問い合わせください。
製品事例
拝島駅前オブジェ
クジラの潮を模したオブジェをヘラ絞り加工・板金溶接・バフ研磨などを駆使して製作しました。 このように皆様の目に直接触れるようなアート、オブジェ、工芸品なども製作しております
イプシロンロケット
イプシロンロケットのフェアリング(先端)をヘラ絞りで加工しています。
フェアリングとはロケットの先っぽ部分についている“殻”のことで、空気との摩擦熱から衛星を守るためのカバーであり、非常に高度な品質基準が要求される部品です。燃焼器ケース
ナガセのヘラ絞り技術で硬質なニッケル合金も成型加工出来ます。 外面をバフ研磨で仕上げることでキズの除去も可能です。
車両用排気管
ヘラ絞り技術を使い、ステンレスの板からドーナツ型のパイプ形状にも加工できます。外面の溶接ビードを仕上げる(バフ研磨も可)事で溶接痕が分からない仕上がりも可能です。